2013年5月29日水曜日

自動車部品会社レビュー(安永)

自動車部品会社の25年3月期決算についてレビューしたい。

株式会社安永は、エンジン部品が主力事業であるが、機械装置事業や環境機器事業も手掛けている。
ここまでの配当傾向をみると安定配当とは言えないが、配当に対する意識は高く、業績が良くなれば適切に増配するだろうと思う。
しかし、機械装置事業に含まれる太陽電池ワイヤソーが苦戦。
太陽電池関連としてもてはやされたこともあったが、業績には悪影響を与えている。
とはいえ、太陽電池関連は業界全体が悪いため、経営責任とは言えないだろう。

以下、セグメント情報から同社の状況を読み解こう。

<平成24年3月期>
(単位:百万円) 外部売上 セグメント利益 セグメント資産
エンジン部品   25,085     1,201       19,635
機械装置      8,459     △76        5,885
環境機器      2,441     △16        2,061

<平成25年3月期>
(単位:百万円) 外部売上 セグメント利益 セグメント資産
エンジン部品   25,674     1,362       17,774
機械装置      5,077    △1,863          6,143
環境機器      2,871      117        2,318

エンジン部品事業は、国内とインドネシアが好調で増収増益を確保した。
売り上げの増加以上にセグメント利益が増えており、良い傾向と考えられる。
今後自動車業界全体の回復に乗っていけるのではないか。

機械装置事業には、自動車用工作機械と太陽電池ワイヤソーが含まれる。

まず、自動車用工作機械については、大口の売り上げが次年度にずれたとのことである。

一方、太陽電池ワイヤソー事業はより深刻だ。
既に滞留在庫を抱えており、棚卸資産の評価損も11億円計上している。
棚卸資産の評価損は売上原価の区分に計上するのが原則のため、セグメント損失18億円のうち11億円は太陽電池ワイヤソー在庫の評価減と思われる。
棚卸資産の評価損を計上している以上、今後の見通しも良くなく、回復には時間がかかりそうだ。
いかに赤字幅を抑えられるかが重要だが、太陽電池関連事業は同社の特徴でもあるため、続けてもらいたいように思う。

環境機器事業は、新型エアーポンプやディスポーザーシステムの好調で良くなっている。
今後も期待できるのではないか。

同社全体の業績推移は以下となっている。
               売上高 経常利益 当期純利益
平成23年度        36,314  1,055     882
平成24年度        33,966  △275   △524
平成25年度予想     30,000   525     200

平成25年度の予想については、国内新車市場が前年割れ水準であること、韓国工場のエンジン部品生産立ち遅れ、太陽電池ワイヤソーの販売低迷により売上高が減少見込みとなっている。
販管費を削れており、棚卸資産の評価損もなくなるため、経常利益は確保できそうだ。
東南アジア自動車市場の推移によっては、業績上ブレもあるのではないかと思う。


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